
天皇とは何か。それは系図の上で順に父親をたどると、必ず、初代天皇である神武天皇につながる存在です。いわば父系での継承が確実にされているということであり、これを現在は男系継承と呼称をしているので、誤解されるのです。実質的には父系継承が適切です。系図の上で父親を順にたどって神武天皇につながるということが天皇の血統のすべてであり、この要素をなくせば、それはもはや天皇ではなく、どこかの国の王様でしかありません。令和の天皇陛下までの126代のすべての天皇は、父系で神武帝につながる存在です。八人の女帝が存在しましたが、その女帝もまた男系女帝なのです。そして、明治維新の後、男系女帝を認めず、男系男子のみとしました。これには理由がちゃんとあるのです。
推古天皇や持統天皇など女性天皇は過去に存在しましたがそのすべてが例外なく、天皇在位中には出産をしておりません。子を産んでおりません。天皇である限り独身をつらぬいて子を産まず、次の天皇の位は皇族の男系男子に譲っています。これならば男系継承が維持できるのです。しかし、このような約束事を現代の女性に強要できるでしょうか。愛子様がもし天皇になったら、独身を貫いて頂くのでしょうか。それは過酷です。できない相談です。そして、愛子様が結婚をして子供を産めば、当然、そのお子様を次の天皇にという声も出てくることでしょう。そして、多数決の民主主義の流れでもし、お子様が天皇になれば、その天皇は、系図の上で父親を順にたどっても初代の神武天皇にはつながらない女系天皇となります。田中さんと結婚すれば田中家の先祖に。山田さんなら山田家の先祖につながるだけです。子の時点で、二千年以上も守られた伝統が破壊され、天皇ではないものができあがるのです。
祖先が二千年以上も守ってきた伝統を現代人の浅知恵で壊してよいわけはありません。民主主義とは今に生きる人だけではなく、祖先と子孫も含めた縦と横の十字の民主主義であるべきで、祖先の思いや子孫の思いも含めて考えるべきなのです。バークは伝統とは継承されてきたことそれ自体に意味があり、壊してはならないと述べましたが、万世一系の皇統こそ、私たち日本国民が責任をもって守るべきものです。令和の天皇陛下の後、皇位継承順位は定まっており、次は、秋篠宮殿下、その次は、悠仁親王殿下です。それを差し置いて、愛子天皇を生み出そうとする者たちの底意は、皇室滅亡にあるといえるでしょう。彼らは皇族の数が足りないから、女性宮家を作らねばならないと主張していますが、それこそ詭弁です。
皇族の数は、敗戦時に占領軍の圧力で減少させられました。十一の宮家が、皇族から離脱を余儀なくされたのです。この十一宮家は臣籍降下させられた後も皇室とは親戚付き合いを続けておられる方々であり、現在120名の男子が存在します。皇位継承順位を仮につけていくと、竹田恒泰氏でも順位では108番目です。そして、明治天皇の孫と昭和天皇の娘が結婚した子孫が五名存在します。この五名の男子は現在の皇族よりも明治天皇の血が濃いわけです。そして、悠仁親王殿下のまたいとこにあたるのがこの五名なのです。現在、皇室には、このままでは断絶する宮家がありますが、これらの宮家、つまり、高円宮、三笠宮、秩父宮、高松宮、常陸宮、桂宮などに、悠仁親王殿下のまたいことの五名が養子として入り、祭祀継承すれば皇族数は補えるのです。側室制度などなくても、宮家が維持されれば、皇位継承者は確保され、皇族数も維持されるのです。
二千年以上の歴史の中で、皇位継承者が不足すると、宮家から補充する仕組みで男系継承は維持されてきました。徳川御三家などのシステムも皇族のやり方をまねたものです。側室制度なしには、男系継承は不可能という主張をする愚かな漫画家などもいますが、歴史を知らないのです。フランス王室は、本家と分家だけで800年間、男系継承を側室なしで維持していました。キリスト教国なので一夫一婦制だったので側室はありませんでしたが、フランス革命で人為的に破壊されるまでフランス王室は男系継承を維持したのです。日本の皇室も、宮家に男子を補充して維持すれば千年でも二千年でも、男系継承は維持できるのです。現代の行き詰まりはすべて占領軍が十一宮家を臣籍降下させたことが原因です。それがなければ今日の問題はなかったのです。私たちの手で、旧宮家を皇籍に復帰させるべきなのです。全員でなくてもよく、明治天皇の血が濃い五名のうち何名かが宮家の祭祀を継承する形で養子に入れば解決です。あとは特措法でそれを実現すればよいだけなのです。